この記事でわかること
drawboxフィルタで矩形を描画するコマンド- 座標・サイズ・色・線幅・塗りつぶしの指定方法
drawgridフィルタでグリッドを重ねる方法- 動画解析・物体検出結果の可視化への応用
テスト済みバージョン: FFmpeg 6.1(検証スクリプトで実 FFmpeg 実行確認)
対象 OS: Windows / macOS / Linux
基本コマンド
赤い矩形を描画する(輪郭のみ)
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=50:y=50:w=200:h=100:color=red:t=3" \
output.mp4
t=3 は線の幅(ピクセル)です。
塗りつぶし矩形
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=50:y=50:w=200:h=100:color=red@0.5:t=fill" \
output.mp4
t=fill で塗りつぶし(color に透明度を指定可能)。矩形で囲った領域をそのまま隠したい場合は、塗りつぶしの代わりにboxblur フィルタでボックスブラーをかける方法も検討できます。
パラメータ詳細
| パラメータ | 説明 | 例 |
|---|---|---|
x | 左上X座標 | x=50 |
y | 左上Y座標 | y=50 |
w | 幅(iw で入力幅を使用可能) | w=200 |
h | 高さ(ih で入力高さを使用可能) | h=100 |
color | 色(名前またはHEX、@透明度 可) | color=red@0.5 |
t | 線幅(ピクセル)または fill | t=3 / t=fill |
色の指定方法
# 色名で指定
ffmpeg -i input.mp4 -vf "drawbox=x=10:y=10:w=100:h=50:color=green:t=2" output.mp4
# HEXで指定
ffmpeg -i input.mp4 -vf "drawbox=x=10:y=10:w=100:h=50:color=0xFF0000:t=2" output.mp4
# 半透明で指定
ffmpeg -i input.mp4 -vf "drawbox=x=10:y=10:w=100:h=50:color=blue@0.4:t=fill" output.mp4
映像全体を囲む枠を描く
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=0:y=0:w=iw:h=ih:color=yellow:t=5" \
output.mp4
iw(入力幅)・ih(入力高さ)を使って映像サイズに合わせた枠を描けます。被写体を切り抜いて別背景と合成したい場合は、枠で囲うのではなくchromakey フィルタでグリーンバック合成するアプローチが向いています。
中央に十字線を描く
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=iw/2-1:y=0:w=2:h=ih:color=white:t=fill, \
drawbox=x=0:y=ih/2-1:w=iw:h=2:color=white:t=fill" \
output.mp4
横線と縦線を組み合わせて十字線を作ります。
複数の矩形を描く
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=20:y=20:w=150:h=80:color=red:t=3, \
drawbox=x=200:y=100:w=120:h=60:color=blue:t=3" \
output.mp4
カンマで複数の drawbox を連結できます。
drawgrid フィルタでグリッドを重ねる
drawgrid は等間隔のグリッドを描画します。
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawgrid=width=100:height=100:thickness=1:color=white@0.3" \
output.mp4
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
width | グリッドのセル幅 |
height | グリッドのセル高さ |
thickness | グリッド線の太さ |
color | グリッド線の色 |
三分割構図ガイドラインを描く
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawgrid=width=iw/3:height=ih/3:thickness=1:color=white@0.5" \
output.mp4
撮影構図確認やポストプロダクションのガイドラインとして利用できます。
drawtext と組み合わせてラベル付きバウンディングボックス
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=100:y=80:w=200:h=120:color=lime:t=2, \
drawtext=text='Object':x=102:y=60:fontsize=20:fontcolor=lime" \
output.mp4
特定の時間範囲だけ表示する
FFmpeg 式を使って時間条件を設定できます。
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=50:y=50:w=200:h=100:color=red:t=3:enable='between(t,2,5)'" \
output.mp4
enable='between(t,2,5)' で 2〜5 秒の間だけ表示します。
注意点
x・y・w・hはiw・ih(入力サイズ)などの FFmpeg 式が使えます。colorに透明度(@値)を付けると半透明になりますが、t=fillと組み合わせて使います。drawboxは-vfフィルタチェインで複数連結できます(カンマ区切り)。
実測例
1080p/30fps、2分の H.264 動画に3つの矩形と1本のガイド線を重ねる程度であれば、drawbox 自体の負荷は軽めです。
ffmpeg -i input.mp4 \
-vf "drawbox=x=50:y=50:w=300:h=180:color=red:t=4,drawbox=x=0:y=ih/2:w=iw:h=2:color=white@0.5:t=fill" \
-c:v libx264 -crf 23 -preset medium -c:a copy \
output.mp4
ただし映像に描画を加えるため、映像ストリームは必ず再エンコードされます。8コア程度のデスクトップ環境では、処理時間は通常のH.264再エンコードとほぼ同じ、またはわずかに増える程度です。塗りつぶし矩形を大きく使うと画面が単純になり、同じCRFではサイズが少し下がる場合もあります。環境により変動します。
座標確認だけが目的なら、まず10秒程度を -t 10 で書き出して位置を確認してから全体に適用すると無駄な再エンコードを避けられます。
つまずきやすいポイント
-
症状: 半透明の塗りつぶしにしたのに不透明な単色になる。 原因:
color=red@0.5を指定してもt=fillを付け忘れている、または線描画(t=数値)のままになっている。対処: 塗りつぶしにはt=fillが必須です。color=red@0.5:t=fillのように両方を指定します。 -
症状: 枠が映像からはみ出して見えない、または位置がずれる。 原因:
x・yに固定値を使い、解像度の違う素材に流用している。対処:iw・ihを使った相対指定にします。例えば全体枠はx=0:y=0:w=iw:h=ih、中央十字はx=iw/2-1のように式で書くと解像度非依存になります。 -
症状: 線が思ったより太い/細い。 原因:
tを線幅とフレームサイズの比で考えていない。対処: 1080p ではt=3〜t=5程度が見やすい目安です。4K では同じ太さに見せるには倍程度(t=8前後)に増やします。 -
症状:
enable='between(t,2,5)'が効かずずっと表示される。 原因: クォートが外れてシェルに解釈されている。対処: フィルタ全体を"..."で囲み、式部分は'...'で囲んだ二重クォート構造を保ちます。
よくある質問
Q. drawbox で映像を再エンコードせずに済みますか。
A. できません。画素を書き換えるため映像は再エンコードされます。音声は -c:a copy で保持できます。座標確認だけなら -t 10 で短い区間を書き出して位置決めすると無駄が減ります。
Q. 矩形を複数描くと処理が重くなりますか。
A. 数個程度であれば drawbox 自体の負荷はごく軽く、処理時間の大半は再エンコードが占めます。カンマで連結した分だけ順に処理されます。
Q. バウンディングボックスにラベルを付けたいです。
A. drawbox と drawtext をカンマで連結します。本記事の「drawtext と組み合わせてラベル付きバウンディングボックス」の例のように、ボックスの少し上に drawtext を置くと見やすくなります。
Q. グリッドの線が太すぎます。
A. drawgrid の thickness=1 が最小です。色を color=white@0.3 のように半透明にすると、線幅を変えずに主張を弱められます。
Q. 塗りつぶしで領域を完全に隠せますか。
A. color=black:t=fill(不透明度なし)なら下の映像が見えなくなります。内容を「ぼかして隠す」場合は塗りつぶしより boxblur が自然です。
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よく使うオプション・フィルタ・コーデック設定をまとめた PDF チートシートです。手元に置いておくと調べる時間を短縮できます。